この記事のポイント
- 水災補償の付帯率は全国61.8%(2024年度)。2013年度の76.9%から年々下がっており、いまは約4割の契約が水災を補償していません
- 2023年6月、火災保険の参考純率が全国平均13.0%引き上げられ、同時に水災料率が市区町村単位の5区分(1〜5等地)に細分化されました。水災の料率だけで見ると、5等地は1等地の約1.5倍です
- 外す判断をする前に、ハザードマップで自宅の浸水想定を確認してください。水害被害額の56.2%は、川があふれる外水氾濫が占めます(国土交通省・水害統計 2011〜2020年の合計)
- 注意点として、保険料の等地区分とハザードマップの浸水想定は必ずしも一致しません。等地が安いことは「浸水しない」という意味ではありません
- 保険料や適用時期は保険会社ごとに異なります。同じ建物でも見積もりに差が出るため、水災あり・なしの両方の金額を出してもらって比べるのが確実です
数値は損害保険料率算出機構および日本損害保険協会の公表資料(2026年9月確認)にもとづきます。個別の契約における補償範囲・保険料は保険会社・商品により異なるため、必ず保険会社・代理店にご確認ください。
付帯率は10年で15ポイント下がった
損害保険料率算出機構が公表している「水災補償付帯率」は、その年度末時点で有効な火災保険契約件数のうち、水災を補償している契約件数の割合です(機構が会員保険会社から集めたデータにもとづく統計です)。
| 年度 | 全国の水災補償付帯率 |
|---|---|
| 2013年度 | 76.9% |
| 2024年度 | 61.8% |
10年あまりで約15ポイント、契約のおよそ4割が水災を補償していない状態になりました。背景として考えられるのは、火災保険の保険料そのものが上がり続けていることです。2023年6月には参考純率(各社が保険料を算出する際の基礎となる数値)が住宅総合保険で全国平均13.0%引き上げられており、契約者が保険料を抑える方法を探すなかで、水災補償が最初の候補になりやすい構図があります。
注意点:参考純率は保険料そのものではありません。上記の較差はいずれも機構が算出する参考純率上の数値で、機構自身が「実際にご契約する際の保険料の較差とは異なります」と注記しています。実際の保険料や改定の適用時期は各保険会社が決めます。
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2023年から「住んでいる市区町村」で水災の保険料が変わる
2023年6月の改定で、水災に関する料率が地域のリスクに応じて5区分に細分化されました。市区町村ごとに1等地(最も安い)から5等地(最も高い)に振り分けられる仕組みです。
- 区分は市区町村単位で、1等地から5等地までの5段階
- 水災の料率だけで見ると、5等地は1等地の約1.5倍
- 火災・風災・雪災・水災などを合計した保険料全体で見ると、最も高い地域と最も低い地域の差は約1.2倍
- 同じく保険料全体で見て、細分化しなかった場合の水準と比べると、1等地は約6%低く、5等地は約9%高い水準です
- 区分の設定には、外水氾濫については洪水浸水想定区域図が、内水氾濫や土砂災害については水害統計や地形データが使われています
自分の市区町村がどの区分かは、損害保険料率算出機構の等地検索で調べられます。ただし機構は、この等地について「水災等地の設定にあたっては、外水氾濫だけでなく、内水氾濫や土砂災害等の水災リスクも含めて評価しているため、洪水ハザードマップ等の一般のリスク情報とは必ずしも一致しません」と注記しています。機構のQ&Aにも「水災等地が1等地の場合、水災リスクはないってことなの?」という問いに対して「違います。どの等地でも水害は発生しています」と書かれています。
保険料の等地は市区町村という広い単位で決まります。一方で浸水は、同じ市内でも川沿いか高台か、周囲より低い土地かで大きく変わります。判断材料にするなら、等地ではなく自宅の住所で見るハザードマップです。
実際に水害で支払われている金額
水災補償を外すかどうかを考えるとき、実際にどれくらいの規模で保険金が支払われているかを知っておくと判断しやすくなります。日本損害保険協会が公表している令和元年台風19号(東日本台風)の支払実績は次の通りです。
| 区分 | 実績(2020年3月9日現在) |
|---|---|
| 火災保険の支払件数 | 226,210件 |
| 火災保険の支払保険金 | 約4,442億円 |
| 全種目合計の支払保険金 | 約5,490億円 |
台風19号は広い範囲で河川の氾濫が起きた災害でした。国土交通省の水害統計(2011〜2020年の合計)をもとにした損害保険料率算出機構の資料によれば、水害による被害額の56.2%は河川があふれる外水氾濫が占め、残る43.8%を内水氾濫や土砂災害などが占めます。川からある程度離れていても、支流や内水氾濫による浸水は起こります。
外す前に確認したい3つのこと
① ハザードマップで自宅の浸水想定を見る
国土交通省の「重ねるハザードマップ」(disaportal.gsi.go.jp/maps )に住所を入れると、洪水・内水・土砂災害などの想定を地図上で確認できます。洪水浸水想定区域は水防法にもとづいて指定されており、想定しうる最大規模の降雨で河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域です。色が塗られていない場所でも、内水氾濫(下水道の処理能力を超えてあふれる浸水)は起こり得ます。調べ方は「災害リスクの調べ方2026」で解説しています。
② 「水災あり」と「水災なし」の両方で見積もりを出してもらう
水災を外すことでいくら下がるのかは、建物の構造・築年数・所在地・各社の商品設計によって変わります。金額の差を見てから判断しないと、「思ったより安くならなかった」「外しても大差なかった」という判断ミスが起こります。複数社をまとめて比較すると、同じ条件でも差が出ることがわかります。
③ 水災補償が守る範囲を正しく知る
水災補償は、台風・豪雨による洪水や高潮、土砂崩れによる損害を対象とします。一方で、地震が原因の津波や液状化は火災保険の水災補償ではなく地震保険の範囲です。また、水災補償には「床上浸水または地盤面から45cm超の浸水」といった支払い条件が設定されている商品が一般的で、条件は商品ごとに異なります。詳しくは「災害リスクと火災保険・地震保険の基礎」をご覧ください。
注意点:マンションの上層階など、浸水の可能性が現実的に低い住戸では、水災を外す判断にも合理性があります。一方で戸建て・低層階・低地では、外した後に被災すると自己負担が数百万円規模になり得ます。「保険料を下げる」ことと「起きたときに耐えられるか」を並べて考えてください。
水災あり・なしの両方の見積もりを出してもらってから決めてください。同じ建物でも会社で差が出ます。
水災補償の付帯率61.8%(2024年度・損害保険料率算出機構)/令和元年台風19号の火災保険支払 約4,442億円(日本損害保険協会)
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よくある質問
水災補償をつけている人はどれくらいいますか?
損害保険料率算出機構の統計では、2024年度末時点の全国の水災補償付帯率は61.8%です。2013年度の76.9%から年々下がっており、約4割の火災保険契約が水災を補償していない状態です(機構が会員保険会社から集めたデータにもとづく統計で、その年度末時点で有効な契約件数に対する割合です)。
住んでいる場所で水災の保険料は変わりますか?
変わります。2023年6月の改定で、水災に関する料率が市区町村単位の5区分(1等地〜5等地)に細分化されました。水災の料率だけで見ると5等地は1等地の約1.5倍、火災・風災・雪災なども合計した保険料全体で見ると最も高い地域と最も低い地域の差は約1.2倍です(いずれも機構が算出する参考純率上の数値で、実際の契約保険料の差とは異なります)。自分の市区町村の区分は機構の水災等地検索で確認できます。
等地が安い地域なら水災補償は不要ですか?
そうとは限りません。等地は市区町村という広い単位で決まる区分で、機構も「洪水ハザードマップ等の一般のリスク情報とは必ずしも一致しません」「どの等地でも水害は発生しています」と説明しています。判断材料にするなら、自宅の住所で確認できるハザードマップの浸水想定です。
津波や液状化は水災補償で対象になりますか?
地震が原因の津波・液状化は火災保険の水災補償ではなく、地震保険の対象です。水災補償が対象とするのは台風・豪雨による洪水、高潮、土砂崩れなどです。補償の境界は商品によって細かく異なるため、保険証券と約款でご確認ください。
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