この記事のまとめ
- 誰が使える?:要支援1〜2、または要介護1〜5の認定を受けている方。認定がまだの方は、先に要介護認定の申請が必要。
- いくらまで?:支給限度基準額は原則1人あたり生涯20万円。自己負担割合(1〜3割)を除いた7〜9割(14万〜18万円)が支給される。
- 手順の核心:ケアマネジャー等への相談→理由書・見積書をそろえて事前申請→自治体の確認(承認)→着工、の順番を必ず守る。
- 支払い方法:いったん全額を業者に支払い、後から支給分が振り込まれる「償還払い」が原則。自治体によっては自己負担分だけ払えばよい「受領委任払い」も選べる。
制度の基本|対象者と支給額のしくみ
介護保険の住宅改修費は、在宅で暮らす要介護者等の自立支援と介護者の負担軽減を目的とした、国の介護保険制度に組み込まれた給付です。
対象者は「要支援・要介護認定を受けている方」
利用できるのは、要支援1〜2または要介護1〜5の認定を受けていて、自宅(被保険者証に記載された住所の住宅)で生活している方です。認定をまだ受けていない場合は、市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターで要介護認定の申請をすることが最初の一歩になります。
支給限度基準額は20万円、自己負担は1〜3割
支給限度基準額は、要支援・要介護の区分にかかわらず一律で、原則1人あたり生涯20万円です。この枠内の工事費について、所得に応じた自己負担割合(1割・2割・3割)を除いた金額が支給されます。
| 自己負担割合 | 20万円の工事をした場合の支給額 | 実質の自己負担額 |
|---|---|---|
| 1割負担の方 | 18万円 | 2万円 |
| 2割負担の方 | 16万円 | 4万円 |
| 3割負担の方 | 14万円 | 6万円 |
20万円の枠は1回で使い切る必要はなく、数回に分けて利用できます。たとえば最初に8万円の手すり工事をした場合、残り12万円分の枠を後日の工事に充てられます。
注意点:自己負担割合は、市区町村から交付される「介護保険負担割合証」で確認できます。工事費が20万円を超えた分は全額自己負担です。
対象になる工事は「6種類」に限られる
介護保険の住宅改修費が支給されるのは、厚生労働省の告示で定められた次の6種類の工事に限られます。
- 手すりの取付け:廊下・便所・浴室・玄関・玄関から道路までの通路などへの手すりの設置
- 段差の解消:敷居の撤去、スロープの設置、浴室の床のかさ上げなど(玄関から道路までの屋外の段差解消も対象)
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更:畳から板張りへの変更、浴室の滑りにくい床材への変更など
- 引き戸等への扉の取替え:開き戸から引き戸・折れ戸・アコーディオンカーテンなどへの取り替え
- 洋式便器等への便器の取替え:和式便器から洋式便器への取り替えなど
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修:手すり取り付けのための壁の下地補強、便器交換に伴う給排水設備工事など
逆にいえば、この6類型に当てはまらない工事、たとえば浴槽やユニットバス全体の交換、老朽化した設備の単なる修繕、リフト等の動力で段差を解消する機器の設置などは対象外です。対象になるか迷う工事は、契約前に必ずケアマネジャーや自治体の窓口に確認してください。
申請の流れ|ケアマネ相談から入金までの6ステップ
介護保険の住宅改修は、利用者が単独で申請するのではなく、ケアマネジャー(介護支援専門員)や地域包括支援センターと連携して進めるのが基本です。全体の流れは次のとおりです。
- ステップ1|ケアマネジャー等に相談:担当のケアマネジャー(いない場合は地域包括支援センター)に「自宅をこう改修したい」と相談する。身体状況に合った改修プランを一緒に検討してもらう
- ステップ2|理由書の作成・業者選定:ケアマネジャー等が「住宅改修が必要な理由書」を作成する。並行してリフォーム業者から見積書を取り、改修後の完成予定がわかる図面や写真を用意する
- ステップ3|事前申請:工事を始める前に、支給申請書・理由書・工事費見積書・完成予定の状態がわかる書類(写真や図)を市区町村の介護保険窓口に提出する
- ステップ4|自治体の確認(承認)後に着工:自治体が保険給付として適当な改修かどうかを確認する。確認結果の通知を受けてから工事を開始し、完成させる
- ステップ5|工事完了後の支給申請:領収書・工事費内訳書・改修前後それぞれの写真(原則、撮影日がわかるもの)・住宅所有者の承諾書(本人所有でない場合)を提出する
- ステップ6|支給決定・入金:自治体が事前申請の内容どおりに工事されたかを確認し、支給を決定。指定口座に住宅改修費が振り込まれる
「償還払い」と「受領委任払い」の違い
支払い方法は、いったん工事費の全額を業者に支払い、後から支給分(7〜9割)が戻ってくる「償還払い」が原則です。ただし多くの自治体では、最初から自己負担分(1〜3割)だけを業者に支払い、残りは自治体が業者に直接支払う「受領委任払い」も選べます。受領委任払いは一時的な立て替えが不要になる半面、自治体に登録された事業者での施工が条件になるなどのルールがあるため、事前に窓口で確認してください。
よくある失敗|「事前申請前の着工」と「対象外工事」
失敗1:事前申請の前に工事を始めてしまった
もっとも多い失敗が、事前申請をせずに(または承認を待たずに)工事を始めてしまうケースです。介護保険の住宅改修費は、着工前の事前申請と自治体の確認を経ることが支給の条件です。先に着工した工事は、後からどれだけ書類をそろえても原則として支給されません。退院に合わせて急いでいる場合でも、必ず「事前申請→承認→着工」の順番を守ってください。なお、災害などやむを得ない事情がある場合に限り、工事完成後の申請が認められる例外はありますが、あくまで例外的な取り扱いです。
失敗2:対象外の工事を含めて契約してしまった
6類型に当てはまらない工事は、見積書に含まれていても支給対象になりません。たとえば「段差解消のついでに浴槽も新しくする」場合、浴槽交換部分は自己負担です。見積書は対象工事と対象外工事を分けて作成してもらい、事前申請の段階でどこまでが対象かを自治体に確認しておくと、後のトラブルを防げます。
自治体独自のバリアフリー補助と併用する順序
多くの市区町村には、介護保険とは別に高齢者向けの住宅改修助成(介護保険の上乗せや、対象外工事への独自補助)があります。併用する場合は、次の順序で考えるのが基本です。
- 第1に介護保険の住宅改修費:6類型に当てはまる工事は、まず介護保険の20万円枠を使う。自治体独自制度の多くは「介護保険を優先的に利用すること」を条件としている
- 第2に自治体独自の上乗せ・独自助成:20万円を超える部分や、浴室全体の改修など介護保険の対象外となる工事に、自治体独自の助成を充てる
- あわせてリフォーム減税も検討:バリアフリー改修は所得税のリフォーム促進税制や固定資産税の減額特例の対象になる場合があり、補助金と併用できる
自治体独自の助成も、介護保険と同様に着工前の事前申請を条件とするものがほとんどです。介護保険の事前申請と同じタイミングで、独自助成の申請もまとめて済ませられるよう、最初の相談時にケアマネジャーと自治体窓口の両方に「使える制度をすべて使いたい」と伝えておくとスムーズです。お住まいの自治体の独自制度は、当サイトの自治体ページからも確認できます。
20万円の枠が復活する2つの例外|「3段階リセット」と「転居リセット」
支給限度基準額の20万円は原則1人あたり生涯の上限ですが、次の2つの場合には、改めて20万円の枠が設定されます。
例外1:要介護状態区分が3段階以上重くなった場合(3段階リセット)
初めて住宅改修費の支給を受けたときの要介護状態区分と比べて、介護の必要の程度が3段階以上上がった場合、1回に限り再度20万円までの枠が設定されます。たとえば、要支援2のときに改修した方が要介護3になった場合などが該当します。段階の数え方は自治体の窓口で確認できます。
例外2:転居した場合(転居リセット)
住宅改修費の支給を受けた後に転居した場合は、転居先の住宅について改めて20万円までの枠が設定されます。以前の住宅でいくら使ったかは関係ありません。ただし、同じ住宅内での改修のやり直しはリセットの対象外です。
よくある質問
入院中でも住宅改修の申請はできますか?
退院後の生活のために入院中に事前申請を行うことは可能ですが、住宅改修費は在宅での生活を前提とした給付のため、多くの自治体では退院が決まってから申請し、支給申請(工事完了後の手続き)は退院後に行う扱いとしています。入院中に改修を検討する場合は、病院の相談員(ソーシャルワーカー)とケアマネジャー、自治体窓口の三者に早めに相談し、退院日から逆算したスケジュールを組んでください。
工事はどの業者に頼んでもよいのですか?
償還払いの場合、施工業者に法令上の指定はなく、原則としてどの業者でも利用できます。ただし「受領委任払い」を使う場合は、自治体に登録された事業者での施工が条件となっていることが一般的です。また、介護保険の住宅改修に慣れた業者であれば、理由書に沿った見積書の作成や改修前後の写真撮影などの手続きがスムーズに進みます。ケアマネジャーに実績のある業者を紹介してもらうのも一つの方法です。
賃貸住宅や家族名義の家でも住宅改修費は使えますか?
使えます。ただし、改修する住宅の所有者が利用者本人でない場合は、事前に所有者の承諾を得たうえで「住宅の所有者の承諾書」を提出する必要があります。賃貸住宅では大家さんの承諾が必須で、退去時の原状回復について事前に取り決めておくことも大切です。なお、対象になるのは介護保険の被保険者証に記載された住所の住宅に限られます。
窓リノベ・断熱・耐震などリフォーム関連の補助金の新着と、受付終了のタイミングをお知らせします。
※ 現在は事前登録の受付期間です。配信の準備ができ次第、ご登録のアドレスへお知らせします。配信解除はいつでも可能で、メールアドレスは通知の目的にのみ使用します。
お住まいの自治体で使える制度を探す
補助金は国の制度に加え、市区町村ごとの独自制度を併用できることが多くあります。 下記の都道府県、または検索から、お住まいの自治体で使える制度をご確認ください。 多くの自治体ページには、国の省エネ補助金に対応できる「登録事業者」の一覧も掲載しています。 施工会社をお探しの方はあわせてご覧ください。
すべての自治体から探す →