この記事のまとめ
- 移住失敗の典型は「現地を知らずに決める」こと。契約や退職の前に、必ず現地に滞在して生活を体験するのが鉄則。
- お試し移住の支援は主に3類型:①格安で泊まれる「移住体験住宅(お試し住宅)」②下見の「交通費・宿泊費補助」③滞在しながら働ける「ワーケーション型」。
- 探し方は「(自治体名)+お試し移住/移住体験住宅」で公式サイトを検索するのが基本。当サイトの移住関連特集も入口として使える。
- 下見では「冬(または夏)の気候」「通院・買い物・仕事・地域コミュニティ」を重点確認。観光ではなく生活の目線で見る。
- お試しで手応えを得たら、本移住では移住支援金(世帯最大100万円+18歳未満の子ども1人につき最大100万円加算)などの制度に接続できる。
移住失敗の典型は「現地を知らずに決める」こと
移住相談の現場でよく聞かれる後悔は、「住んでみたら想像と違った」という後悔です。写真で見た美しい風景と、そこで毎日暮らすことはまったく別の話です。冬の積雪で車が出せない、最寄りのスーパーまで車で30分、子どもの通学手段がない、といった生活上の制約は、短時間の観光では見えてきません。
移住関連の補助金には「一定期間内に転出すると返還を求められる」タイプが多く、合わない土地に移住してしまうと、金銭面でも生活面でも損失が大きくなります。だからこそ、退職・住宅契約・引越しといった後戻りしにくい決断の前に、現地での滞在体験(下見)を挟みましょう。
自治体側も「ミスマッチによる早期転出」を防ぎたいため、移住検討者向けの体験・下見支援を積極的に用意しています。これを使わない手はありません。
お試し移住制度の3つの類型
自治体のお試し移住支援は、おおまかに次の3類型に整理できます。名称は自治体ごとに「お試し住宅」「移住体験住宅」「お試し暮らし」などさまざまですが、中身はこのいずれか(または組み合わせ)であることがほとんどです。
| 類型 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| ①移住体験住宅(お試し住宅) | 自治体が用意した一戸建てや空き家を、数日〜数か月単位で格安で貸し出す。家具・家電付きが多く、生活をそのまま体験できる | 無料〜1泊数千円程度(光熱水費込みの場合も多い) |
| ②下見の交通費・宿泊費補助 | 移住検討のための現地訪問にかかる交通費や宿泊費の一部を自治体が補助する。移住相談窓口の利用や物件見学が条件になることが多い | 数千円〜月数万円の補助(上限・回数制限あり) |
| ③ワーケーション型・長期滞在型 | テレワーク環境付きの滞在施設で、仕事を続けながら数週間〜数か月暮らす。「関係人口」づくりを目的とした滞在費補助が出る場合もある | 施設・期間により幅が大きい |
実際の例:料金や補助額のイメージ
具体例をいくつか挙げます。鹿児島県南大隅町の「お試し住宅」は、1泊1,000円(1組・光熱水費込み)で最長15日間まで滞在できます。長崎市の「ながさきお試し暮らし応援事業」では、県外在住で長崎市への移住を検討している人を対象に、下見の旅費・滞在費として月最大9万円が補助されます。このように、宿泊型と費用補助型のどちらも、実費をかなり抑えて現地体験ができる水準です。
注意点:料金・補助額・募集状況は年度ごとに変わります。利用前に必ず各自治体の公式サイトで最新の要項を確認してください。人気の体験住宅は予約が数か月先まで埋まっていることもあります。
お試し移住制度の探し方
お試し移住の情報は、次の順番で探すのが効率的です。
- 候補地の自治体公式サイトの「移住・定住」ページを見る:「(自治体名) お試し移住」「(自治体名) 移住体験住宅」で検索すると、制度ページに直接たどり着けます。料金・期間・申込方法まで公式情報で確認できるのが利点です。
- 都道府県の移住ポータルサイトを見る:県内市町村の体験住宅を一覧化しているページが多く、候補地を絞り込む段階で役立ちます。
- 当サイトの移住関連の特集・記事から入る:移住支援金や住宅補助とあわせて、地域ごとの制度の全体像を把握できます。関連記事も参考にしてください。
候補地が複数ある場合は、いきなり1か所に長期滞在するのではなく、まず短期の下見補助を使って2〜3か所を回り、絞り込んでから体験住宅で1〜2週間暮らす、という二段構えがおすすめです。
下見・お試し滞在で確認すべき5つのこと
せっかく現地に行くなら、観光ではなく「生活のシミュレーション」として過ごしましょう。確認すべきは次の5点です。
1. 冬(または夏)の気候
移住の下見は気候のよい季節に行きがちですが、生活の負担が最も大きいのは冬の積雪・凍結や夏の湿気・台風です。可能なら気候の厳しい季節に滞在し、難しければ地元の人に「冬はどんな暮らしになるか」を具体的に聞いてください。除雪の負担や暖房費は、住んでみて初めて重さが分かる出費です。
2. 通院・医療
内科・歯科・小児科など日常的にかかる医療機関までの距離と、夜間・休日の救急対応を確認します。持病がある場合は、専門の診療科が通える範囲にあるかが移住可否を左右します。
3. 買い物・生活インフラ
スーパー・ドラッグストア・ガソリンスタンドまでの距離、ネット通販の配送日数、携帯電話の電波状況を実際に確かめます。「車が1人1台必要」な地域では、車両の購入・維持費も移住後の家計に組み込む必要があります。
4. 仕事
テレワーク継続なら回線速度と作業環境を体験住宅で実測します。現地就職なら、滞在中にハローワークや自治体の就職相談窓口を訪ね、求人の実態と給与水準を確認しておきましょう。
5. 地域コミュニティ
自治会・消防団・地域行事への参加がどの程度期待されるかは、地域によって大きく異なります。お試し滞在中に地域のイベントや移住者交流会に顔を出し、先輩移住者から「入ってみて分かったこと」を聞くのが最も確実です。役所の移住担当者だけでなく、実際に移住した人の話を聞けるかどうかで、得られる情報の質が変わります。
お試しの先へ:本移住で使える支援金に接続する
お試し移住で手応えを得たら、本移住の段階では別の支援制度が使えます。代表的なのが国の「移住支援金(地方創生移住支援事業)」です。東京23区に在住または通勤していた人が対象自治体へ移住して就業等の要件を満たすと、世帯で最大100万円(単身は最大60万円)が支給され、18歳未満の子どもを帯同する場合は子ども1人につき最大100万円が加算されます。
このほか、市区町村独自の住宅取得補助や空き家改修補助を併用できるケースもあります。お試し滞在中に役所の移住相談窓口を訪ね、「本移住した場合に使える制度」を一覧でもらっておくと、資金計画が立てやすくなります。
注意点:移住支援金には「移住元の在住・通勤要件」「就業・テレワーク等の要件」「一定期間内に転出した場合の返還規定」があります。詳細は関連記事と、移住先自治体の公式情報で必ず確認してください。
よくある質問
お試し移住(移住体験住宅)は誰でも利用できますか?
多くの自治体では「その自治体への移住を検討している人」が対象で、観光やレジャー目的での利用は認められていません。申込時に簡単な利用目的の申告や、滞在中の移住相談窓口への訪問が条件になっている場合もあります。また、その自治体にすでに住民登録がある人は対象外となるのが一般的です。細かい要件は自治体ごとに異なるため、申込前に公式サイトの利用要項を確認してください。
お試し移住には何日くらい滞在すればよいですか?
目的によって使い分けるのがおすすめです。候補地を絞り込む段階なら2〜3泊の下見で「街の空気感」と生活インフラを確認し、移住をほぼ決めた段階では1〜2週間以上滞在して、平日の暮らし(通勤・買い物・ごみ出しなど)を実際に回してみると精度が上がります。テレワーク移住なら、体験住宅で実際に1週間仕事をしてみて、回線や作業環境に問題がないか確かめておくと安心です。
お試し移住を利用すると、その自治体に移住しなければいけませんか?
いいえ、お試し移住の利用に移住の義務はありません。体験の結果「合わない」と分かることも、制度の大切な役割です。むしろ自治体側も、ミスマッチのまま移住して早期に転出されることを避けたいと考えています。ただし、本移住後に受け取る移住支援金や住宅補助には、一定期間内に転出すると返還を求められる規定があるため、お試し段階でしっかり見極めることが、結果的に金銭的なリスクを減らすことにつながります。
移住支援金や自治体の定住促進制度の新設・変更をメールでお知らせします。
※ 現在は事前登録の受付期間です。配信の準備ができ次第、ご登録のアドレスへお知らせします。配信解除はいつでも可能で、メールアドレスは通知の目的にのみ使用します。
お住まいの自治体で使える制度を探す
補助金は国の制度に加え、市区町村ごとの独自制度を併用できることが多くあります。 下記の都道府県、または検索から、お住まいの自治体で使える制度をご確認ください。 多くの自治体ページには、国の省エネ補助金に対応できる「登録事業者」の一覧も掲載しています。 施工会社をお探しの方はあわせてご覧ください。
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